Marantz 7C Stereo Console service manualの和訳


 ネットで拾ったサービスマニュアルのいい加減な和訳です。内容や正確さについてはもちろん保証しません。解像度の高い図版、パーツリストについてはオリジナルを参照してね。

 ■はじめに

 このサービスマニュアルは、認定された保証ステーション(Authorized Warranty Station)で使用するために用意されたものであり、Marantz model 7C Stereo Consoleのサービスデータを収めています。
 このマニュアルに含まれるサービス情報、電圧、抵抗データは、経験と専門知識を持った技術者だけが利用することを想定しています。すべての説明を注意深く読むべきです。プリアンプの動作について適切に理解しないまま、いかなる試みも始めるべきではありません。機能の解説と付属のブロックダイアグラムは、プリアンプに関する信号の流れと機能データを示しており、理解の助けになるでしょう。
 パーツリストはMarantz Companyから注文できる交換部品についての情報を提供します。部品の説明も含まれているので、普通に地域の供給業者から入手することもできます。

 ■機能の解説

  図1は、Model 7C Stereo Consoleの単純化したブロックダイアグラムで、アンプ内の機能要素と信号の流れを示しています。機器は2組の同一なチャンネル、共通に動作する切り替え回路、共通の電源から構成されます。明瞭にするために、チャンネルAと共通回路を示しています。

<図1> Model 7C Stereo Console、機能ブロックダイアグラム


 SELECTORスイッチSR7は(5枚のウエハーに配置された)個別の3つの機能セクションを収めています。この3つのセクションは、信号の入力、フィードバック、出力の経路指定を提供します。入力セクションは、低レベルの入力ソースを選択し、それをプリアンプ(訳注:初段のアンプ)に送ります。フィードバックセクションはプリアンプと共に動作します。このセクションは選択された入力信号に対して、適切なイコライゼーションネットワークを選んで適用します。出力セクションは、増幅された信号をTAPEスイッチとTAPE OUTジャックに接続します。高レベル信号はSELECTORスイッチの出力セクションを介して、入力ジャックからTAPEスイッチとTAPE OUTジャックに直接接続されます。高レベル入力が選択されている時は、入力セクションはプリアンプの入力をグラウンドにショートするので、このソースによる干渉が排除されます。
 プリアンプはV2A、V2B、V3Aから構成されます。プリアンプはすべての低レベル入力を、それぞれの入力ソースのために必要な適切なイコライゼーションを適用しながら増幅します。プリアンプの利得−周波数特性は、フィードバックループで選択されたイコライゼーションネットワークにより決定されます。MICROPHONEポジションでは、イコライゼーションは1つの抵抗で実現されます。これは20Hzから20,000Hzの範囲で周波数応答を±-0.1dB以内に維持しながら、プリアンプの利得を40dBにセットします。PHONO 1、PHONO 2ポジションでは、PHONO EQUALIZERスイッチSL7の設定により、希望するイコライゼーションネットワークが選択されます。用意されている設定は、OLD 78、RIAA、COL LPの3種類です。これら3つの位置すべてで、プリアンプの利得はおおよそ42dBに設定されています。ほかの周波数での応答は、選択しているネットワーク次第です。図2は3通りのスイッチポジションにおけるプリアンプの利得−周波数特性を示しています。図中での0dBの参照レベルは、42dBの利得に対応します。SELECTORのTAPE HEADポジションでは、フィードバックループが調整可能なイコライゼーションネットワークに切り替えられます。この調整は、製品のリアパネルにが配置されたTAPE EQU ADJUST可変抵抗R13で行います。このネットワークは、500Hzにおけるプリアンプの利得を42dBにセットします。500Hz以下の周波数では利得は固定です。それ以上の周波数では、10kHzにおいて13.5 dB以上の範囲で変化します(図2を参照)。各製品はNARTB(National Association of Radio and Television Broadcasters)イコライゼーション用に工場でセットされています。

<図2> フォノ/テープイコライゼーション特性


 TAPEスイッチSL7は、選択された信号とテープ再生信号のどちらかを選択し、MODEスイッチに送ります。SELECTORポジションでは選択された入力信号がモードスイッチに、そしてトーンアンプに送られ、テープ再生入力はオープンのままとなります。再生ポジションではテープ再生信号がトーンアンプに接続され、選択された入力信号はオープンのままとなります。選択された入力信号は、常にTAPE OUTジャックに接続されたままである点に注意してください。
 チャンネル間の切り替えは、MODEスイッチSR7で制御されます。CHANNEL Aポジションでは、チャンネルAの信号だけがAとBのトーンアンプに与えられます。CHANNEL Bポジションでは、チャンネルBの信号だけが両チャンネルに送られます。MONO A+Bでは、スイッチの接点によって抵抗を使ったミキシングネットワークが選択されます。チャンネルAとBの入力は同じ割合で混合され、AとBの両方のトーンアンプに与えられます。STEREOポジションでは、チャンネルAとBの入力は、それぞれのトーンアンプに送られます。STEREO REVERSEポジションではこの送り先が反転されます。つまりチャンネルA入力はBトーンアンプに、チャンネルB入力はAトーンアンプに送られます。
 チャンネルAとBの信号の間の相対的なレベルは、BALANCEコントロールで調整されます。これは全範囲型の2連可変抵抗で、どちらかのチャンネルだけを完全なカットオフまで減衰させることができます。1つのセクションで両方のチャンネルをコントロールします。中央では両方のチャンネルが同じ量だけ減衰されます(バランス状態)。減衰量は約3dbです。時計回りにいっぱいまで回した位置では、チャンネルBは完全に減衰され、チャンネルAの信号は減衰されることなく通過します。反時計回りの位置では、逆の状況になります。VOLUMEコントロールも2連可変抵抗ですが、どちらの信号も同時に同じ割合で減衰されます。全範囲で追従性は2dB以内に保たれています。
 トーンアンプV5は高利得であり、すべてのメインチャンネル出力に選択的な周波数補正を提供します。BASSとTREBLEのコントロールはどちらも11ポジションスイッチです。それぞれのポジションにおいてトーンアンプのフィードバックループの特性を変えることで、RCネットワークが適切な周波数補正を行います。両方のコントロールが中央位置の時(真上)、トーンアンプの利得は22.5dBで、20Hzから20,000Hzでフラットな周波数応答になります。ほかのスイッチポジションでは、全体の周波数応答は変化します。しかし1,000Hzにおける利得は変わりません。TREBLEコントロールのそれぞれのポジションは、10,000Hzで利得を2dBずつ変えます。BASSコントロールはトーンアンプの利得を、50Hzにおいてステップごとに3dBずつ変えます。それぞれのスイッチポジションでの周波数応答のカーブを図3に示します。この図で0dBの参照レベルは、22.5dBの利得に対応します。

<図3> トーンコントロール特性


 トーンアンプの出力は、2セクションのRC時定数ネットワークから構成される低周波フィルターに送られます。トーンアンプ信号はフロントパネルのスイッチ設定に応じて、50Hzか100Hz以下が12dB/octの割合で減衰されます。図4は結果として得られる周波数応答を示しています。
 カソードフォロワーV6によって、低周波フィルターと高周波フィルターは分離されています。この真空管はまた、メイン出力ジャックをドライブするために低出力インピーダンスを実現します。カソードフォロワーへの入力信号は、OUTPUT LEVELコントロールR54を反時計回りに一杯に回した位置で約12dB減衰されます。高周波フィルターはローパスLCネットワークから構成され、選択されたカットオフ周波数以上のロールオフを実現します。高周波フィルターは、5,000Hzか9,000Hzのどちらかを選択して制限できます。結果として得られる周波数応答を図4に示します。

<図4> 低周波、高周波フィルター特性


 7Cの電源は2個の個別の整流器を備え、すべてのアノード電圧とヒーター電圧を供給します。DCアノード電圧は、コンデンサ入力フィルターを持った伝統的な半波整流で供給されます。ヒーター電圧はすべて直流で、60Hzのハムの誘導を低減します。これはコンデンサー入力フィルターを持つ全波整流ブリッジによって供給されます。パイロットランプの点灯にも同じ電源が使われます。


<図5> 部品と調整部の位置



<表> 電圧表

真空管 形式   1
 V1  12AX7  153  0  1.5  FIL  12.6 FIL  153  0  1.5  FIL
 V2  12AX7  153  0  1.5  FIL  12.6 FIL  153  0  1.5  FIL
 V3  12AX7  280  0  52  FIL  FIL  280  0  52  18.9 FIL
 V4  12AX7  161  0  1.1  FIL  12.6 FIL  166  0  1.7  FIL
 V5  12AX7  161  0  1.1  FIL  12.6 FIL  166  0  1.7  FIL
 V6  12AX7  280  0  52  FIL  FIL  280  0  52  18.9 FIL

 注と条件
1. すべての電圧は直流で±10%です。
2. FILは直並列の接続です。回路図を参照してください。
3. すべての電圧は真空管電圧計を使って測定したものです。
4. すべての電圧は、117Vのライン入力を維持して測定したものです。
5. すべての電圧は無信号で測定したものです(SELECTORスイッチをAUXにし、AUXジャックをショートした状態)。
6. すべての電圧は、シャーシーグラウンドに対して測定したものです。


<表> 抵抗表

真空管 形式 
 V1  12AX7  280K*  1M  4.7K  −  −  280K*  330K  5.7  −
 V2  12AX7  280K*  1M  4.7K  −  −  280K*  330K  5.7  −
 V3  12AX7  4K*  1M  28K  −  −  4K* 1M  28  −
 V4  12AX7  280K*  100K**  4.7K  −  −  100K*  1M  1K  −
 V5  12AX7  280K*  100K**  4.7K  −  −  100K*  1M  1K  −
 V6  12AX7  4K*  1M  28K  −  −  47K*  1M  28K  −

 注と条件
1. すべての抵抗測定はオーム単位で、±10%、K=1,000、M=1,000,000です。
2. すべての抵抗測定は、注記がない限りシャーシーに対するものです。
 *R105とRect 1のカソードの接続部から測定。
 **この測定はVOLUMEコントロールを最大にした状態。
(訳注: V1からV3の8ピンの抵抗値は、たぶんKが抜けてる)


<図6> Model 7C Stereo Console、回路図

・特に指定のない限り
 小数点のあるコンデンサはマイクロファラッド単位
 整数のコンデンサはマイクロマイクロファラッド(ピコファラッド)単位
 K == ×1,000
 M == ×1,000,000(あるいはメガオーム)

・(DCボルト)は、30分のウォームアップの後、真空管電圧計で測定したおおよその値です。

*メインアンプへのシールド線が15-20フィート(約500pF)を超える場合、付加的な容量によりフィルターのカットオフ周波数が低下します。これは、配線の容量分だけこのコンデンサの容量値を減らすことで補正できます。



 ■パーツリスト

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